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京都ブランド発信建築

特集学生作品授業紹介

「京都のブランドを世界に発信する建築」

進藤強さん、山本浩三さん、横川正紀さん、3名の客員教授から出された設計課題。

8チームに分かれて取り組みました。1ケ月間の集中ワークショップです。

グループ1の提案は、敷地に水を取り込み(鴨川と高瀬川の間が敷地)、器を展示する作品。

人の動線の位置、広さ大きさと、通路からの景色、見せ方に工夫が必要とアドバイス。水を引き込んだ大胆さは歓迎です。

グループ2は、本田味噌。

鴨川と高瀬川を結ぶ動線に、トンネルや販売所、公園、「みそ神社」を組み込みました。

優秀賞を受賞。

グループ3は、佐々木酒造。酒×水で、プール、サウナを組み込んだ造形的な屋根が特徴の作品。通りの雰囲気を考慮したデザインが評価を受けました。

優秀賞。

グループ4は、「有次」という包丁を製造販売する会社。三角屋根を分散し、職人さんの住居、工房、販売所などを計画。祭りを行うアイデアは良いものの、平面図がないのが、致命的でした。

グループ5は、佐々木酒造。タイトルは、水に酩う。

公園である地上と魅力的な地下空間を対比させ、かつ、川の上の桟敷床を構成。

良くできた作品だと思いましたが、建築を構成する要素が多いとの指摘でした。

グループ6は、和傘の日吉屋。

目の付け所は良かったものの、建築への落とし込みが未熟でした。

ムービーまで制作しましたが残念でした。

グループ7は、大学院生チーム。

プレゼンの前に、白みその味噌汁が配られました。

スタディ案の紹介。

100人が座ることのできる円形テーブルや、味噌づくり教室、販売所、自動販売機コーナーなどを有機的に連結した優れたデザイン。

ということで、最優秀賞を受賞。参加教員の多くが近寄ってくるほどのレベルでした。

グループ8は、パリからの交換留学生チーム。

月桂冠と音響メタバースの会社がコラボした、sounds of sake。

歌舞伎とお酒の特徴を生かした7銘柄を紹介する7種類の空間をグリッド上に配置しました。

優秀賞を受賞。

 

最後に、総評としてのアドバイス。

普段の建築学科の講評会では、聞くことのできない視点からの、建築作品へのアドバイスは、学生にとっても、教員にとっても大きな刺激になりました。

今年の客員教授を、従来のように1人にしないで「3名」にした理由は、同時に異なった視点からの建築の話、議論になることを期待したからです。

さらに、何に対しても面白がって興味を持ちながら、楽しんで生きていく姿勢を持つ先輩たちがいて、セイカ建築の後輩たちを見守っていることを感じて欲しかったからです。

 

その期待を、想像以上に増幅させた、楽しく充実した時間を過ごすことができました。

 

なにより、学生たちが苦しみながらも楽しそうに議論を重ねてチームとして制作したこと、毎回の講評会では楽しそうに盛り上がっていたことが成功の証左です。

 

3名には、忙しい時間を調整して、毎回東京から来ていただき、心から感謝しています。

 

ありがとうございました。

 

次の機会も期待しています。

 

 

で、終了後に、山本浩三さんからの感想をいただきましたので、紹介します。

今の時代に建築を学ぶ学生にとって、何を考える力を養うことが大切なのか。

真摯に考えていただいた上での課題内容と、3名での足並みをそろえた指導だったことを再度確認しました。毎回の講評会では3名ともに、終始、笑顔で学生作品を楽しんでいる様子が印象的で、その笑顔あふれたアドバイスは適確に学生たちに伝わったはずです。

重ねて感謝します。

 

 「今年4月、母校である京都精華大学デザイン学部建築学科の今年の客員教授に着任させて頂き、同期の卒業生の中でもトップランナーの二人である横川正紀、進藤強と共に招集されました。
授業は学部3年生、院生に向けた設計課題を与え、計3回のレクチャーと講評。課題内容は一任され、3人で協議した結果、課題名は「京都のブランドを世界に発信する建築」。
美術大学の抽象的な設計課題や、具体的な建築用途があるような建築主体の設計課題ではなく、建築には施主や事業主がいて、具体的なニーズがあって初めて建築行為が始まる商業的な目的もあることを教えたいと考え、今回の課題とした。
つまり、この課題の設計の目的は、建築を建てることより商品を売る事である。
学生たちは結果として、自ら選んだブランド、商品のための建築を創造してくれた。ブランドの理解から始まり、敷地の調査、最後に建築に落とし込むプロセスも各々魅力的であった。
だが、その事業が失敗した時に、他のブランドや、用途に変更できそうな提案だったのが逆に少し残念かなと感じた。本当にそのブランド、商品のための唯一無二の建築であれば、他には転用できないはずである。
30年前、安藤忠雄、山本理顕、高松伸といったスター建築家に私達3人はレクチャーを受けた。当時の建築主体の課題とは逆説的な課題内容ではあるが、私達のキャリアパスを踏まえ、現在の柔軟性を求められる建築家の職能を感じてもらうきっかけとなる授業になったと思う。」
posted date 2024.04.29
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