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セイカ大前駅 リニューアル

学生作品

大学関係者と地域の方々に親しまれている、京都精華大前駅。

叡山電鉄90周年を記念してリニューアルすることになりました。いよいよ改装工事開始です。建築3年生と留学生 計14名での課外活動になりました。

ベンチを黒に塗っていきます。

木目に沿って丁寧に。

汚れた壁も。この駅舎は30年を迎えています。セイカ建築の歴史とほぼ同じ年齢。

工房では、展示壁での造作やベンチの制作です。授業が終わってからの作業なので、夜勤仕事です。

ベンチは、予算の関係上、建築解体現場から譲り受けた柱材廃材の再利用です。

その結果、あちこちにランダムにほぞ穴が残っていて、楽しい表情になっています。

夜間の壁制作作業。司令塔は、家具デザイナーの松本和美先生。

丸ノコを持ち込んでの現場制作。現場合わせでしかできない工事内容でした。

時間が足りず、やむなく日中の授業時間内で制作する日もありました。

そして本日、記念式典に合わせて完成。単なる展示壁ではなく、複層格子の繊細さを持っています。中段が透けているのは、バイク運転手が駅から出てくる人と鉢合わせで事故を起こす事を防ぐため。

左上の格子は、まれにみる、というか、見たこともない新しい「五重の」格子。京都の奥性が表現されて、複雑で美しい陰影をつくります。

単なる、壁なのに、

リサイクルで誕生した椅子は合体すればベンチになります。

小口を白で塗ったのは、寺社仏閣と同じように、雨は小口からしみこむので木材の保護のため。きわめて日本的なデザインです。

ホームに背をむけて、新しく取り付けた机を使ってちょっとした作業も可能。

仲間で集まることもできます。

限られた待ち時間が、時間つぶしではなく、少しでも楽しい時間になって欲しいという願いからのアイデアです。

伝言板。今風のブラックボードです。

昔の駅には伝言板があって、会えなかった人が「○○さん、先に行っています」とか書いていた昔話が復活しました。

携帯電話のこの時代に、直筆の暖かさを感じて欲しいという願いから。

「伝言板」という説明は、10ケ国語で。

順番は世界で人口の多い順。この文字を見て、どの国かわかるでしょうか。

ダイバーシティの大学であることを意識して欲しいという願いから。

日本はようやく10番目。

白い掲示板には、学生達がチラシやDMを自由に貼ります。

この駅を利用する地域の方からの情報・地域の方たちへの情報も掲示します。

情報交換して欲しいという願いから。

夜景。

まだ、間接照明の方向が違っているので、光源が目に入ります。

来週、電気屋さんにお願いしてスポット照明の向きをかえる予定です。

(後日談:向きを変えてもまぶしさが残ったので、カバーをつけました。)

(後日談:伝言板の掲示板には、アクリルでカバーをつけました)

 

今回の工事。叡山電鉄工事関係者の皆様、ご協力いただきありがとうございました。

とりわけ、天井塗装工事であまった塗料をいただけなかったら、間に合っていませんでした。

 

 

短期間での集中作業。

大変おつかれさまでした。

「きれいになったよね」と学生達からの声が聞こえてきて、苦労が報われます。

 

今回のデザインや制作に関わった学生達にとっては、大変な思いをした分、一生忘れられない思い出になったことでしょう。

 

卒業した後に大学に遊びに来てくれる日を、この駅舎に会いに来てくれる日が来ることを、ずっと待っています。

 

建築は残るから。

 

最後に、今回、同時に展示したコンセプト文章です。

 

京都精華大前駅 リノベーションプロジェクト 2019

ダイバー・ステーション(Diverse +station)

 

京都精華大学は、多様性を許容し共存共栄する「ダイバーシティ」を宣言する大学です。

今回の駅舎リノベーションにあたり、このダイバーシティを表現することができればと考えました。

 

全体イメージ

 

色彩は、物質のすべての色を混ぜると黒色になりますが、光のすべての色を混ぜると白色になります。この事から、駅舎の色として白と黒の2色を基調にしました。

白色は柱・梁・壁・天井の塗装、黒色は人が座るベンチへの塗装をします。

また、夜間照明を屋根面への間接照明とすることで、既存構造体のリズムを生かした荘厳な雰囲気をつくります。

 

安全性

 

キャンパス側の道路は、ホームから出る人がバイク運転者に見えにくく、事故が発生しかねない危険な状態でした。

ホームの改札側の壁の一部を解体し、視線の抜けをつくることによって、歩行者・バイク双方の安全性を確保します。

 

セイカ大学の個性の表現

 

解体した壁には新たな機能を持たせます。

大学や岩倉地域の情報を発信する掲示板、駅利用者が交流するための情報伝言板、作品展示台などの機能です。

岩倉とセイカ大学の情報を得ることのできる、既存の壁の骨組みを生かしてリノベートしたアートな壁です。

 

京都精華大学デザイン学部建築学科

 

 

 

 

 

 

 

 

posted date 2019.12.05
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