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農業は生活のすべて

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セイカ建築卒業生の、高橋(旧姓永井)麻美さんの娘さん、とうこちゃんに、工作キットを届けに、丹波まで伺いました。

温室。多種多様な作物が雑多には見えますが、順調に育っています。ビニールハウスは、害虫やイノシシの心配がないので安心して育てられています。

この農園は、「うむ農園」

https://umu-noen.herokuapp.com/

農薬はもちろん、 一切の堆肥を使わないという、徹底した自然栽培の農園です。

農園の大きさは2町分。

100M×100Mが1町なので、それが2個分。2万㎡。600坪!

2人で耕作するには広すぎる感じです。

麻美さんは、セイカ建築学科卒 /aterie marron 主宰 / 京都府城陽市で自然栽培を実践 /アロマインストラクター /ハンドメイドコスメ講師 /自然栽培農家 

という肩書です。

作物は、お米、麦、黒豆、カボチャ、ナス、ゴウヤ(白い!)、トマト、メロン(瓜に近い味でした)各種芋類などなど、たくさんありすぎて記憶できませんでした。

お米に虫がついて全滅に近い状態の年に、バッタが虫を全部食べてくれたというエピソードを聞きました。これは農薬を使っていないからこそ、バッタが集まってくれて害虫除去に活躍してくれたと思います。これが、自然循環です。

普通の農家と違う点。

穀物と野菜以外の植物も育てられています。藍染に使う草花、綿花(糸をつくる)、ひょうたん(スポンジに)、マコモ(滅菌消毒)、多彩なハーブ薬草(アロマオイルに)、ワサビ(これから)などなど。

「農業は生活のすべてである。であるべきである」という姿勢で、生活に必要な染料、糸、スポンジ、香辛料などの植物も育っています。

ちょうど今日の夕方からは、綿花の収穫をするそうです。売るためではなく、自分たちが使う生地をつくるため。糸から。

 

生活に必要なものを決してこの地域だけの特産物ではなく、地域に生きている人の生活に必要なものを「確実に」確保するため。です。

従来の「農業の枠組み」を超えていると思いました。

 

地域の特産品は、その地域にあった作物である場合が多いので、肥料や農薬なしでも育つ場合が多いらしく、土地に合った作物を栽培することが無理なく無農薬で栽培できるコツだということを最近理解されて、積極的に特産品を栽培するようにしているとの事です。

 

ジニアス・ロキ。ゲニウス・ロサイ。土地の精霊と、ともに生きる生き方です。

自宅も古い民家のリフォーム(自分たちで)されながら、鶏小屋=卵の確保や、

ヤギさんの小屋も自作。テラスやデッキも自作。住環境ほとんどが自作!

IT業界出身のご主人さんが作業されて、建築出身の麻美さんは指示する役だとの事。大変におつかれさまです。最近の仕事では、木の構造に継手仕口も刻まれていて、器用な(ブリコラージュな)ご主人さんだなあと関心、称賛さしあげました。

この家を取得した当初はトイレやお風呂もなかったそうで、それらも、すべて自作です。サバイバルのような作業だったのだと思いますが、今ではきちんと機能性を確保した部屋ができていて本当に感心しました。

ただ、

まだまだ、これからもリフォームは続くそうです。生涯、エンドレスに続いていくことと思いますので、セルフビルドをどうか楽しんで欲しいと願います。

ごちそうになった昼食は、すべて自家製の作物からつくられた食事。

朝、畑から取ってきたナスと、ししとうが入った自家製の麦パン、ミニトマトなど。

美味しくないはずがありません。

 

いつも学生に言っていること。

もしも自分の家がなくなったら、自分で家をつくること。そのために、つくるアイデアと技術を知っておくことが一番大事。

この卒業生の家庭では、このことを実践されて、かつ、食料自給自足の生活を確保されていて、本当に頼もしいと嬉しく思いました。

建築家は、自立した自由人。です。

農業という領域で自立した自由人の姿勢を持って、楽しく、たぶん時々は困ったりしながらも生活している姿を見て、建築家しているなあ、と安堵しました。

 

「明日は〇〇の収穫時期だね。と話していて、朝に畑に言ったら、イノシシさんが夜に掘り起こして全部食べてしまってはった。今後は、早めに行かんとあかんねえ。」

と、ご夫婦での笑いながらの話を聞きました。

 

のんびりして自然世界に優しい生活。

 

また、遊びに行きたいと思いました。

 

 

posted date 2020.09.09
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