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国際ワークショップ 2025

授業紹介

国際ワークショップ 2025

 

一昨年、昨年に引き続き、今年もアメリカのオーバン大学建築学科生が来日して、京都精華大学で国際合同ワークショップを実施しました。

 

オーバン大学からは12名、セイカ建築は33名(3年生と大学院1年生とフランスからの交換留学生)、計45名を国籍と学年を混ぜ合わせて、6チームを編成しての取り組みです。

期間は9月29日(月)から10月4日(土)までの6日間。

 

今回の課題内容は

「フランツ・カフカの小説『変身』の主人公グレゴール・ザムザのための休憩用フォリー(庭園内の小さな装飾的な建築物)の制作」

 

今回グレゴールは京都精華大学を訪れている詩人であり、死んでおらず、芋虫、さなぎ、蝶、人間の姿を予測不能に繰り返すという設定。

また制作にあたり、作られるフォリーは彼の特定のあり方に対応したユニークな休息空間であると同時に、彼の創造性を刺激するものでなければならず、他の人々との会話を促すような空間であることも求められました。

初日の月曜日にオーバン大学のKim先生から課題説明を受ける様子。

 

用意された材料は、

各チーム 20本の木の丸棒、麻ひも、和紙、ペーパーロール、養生シート、新聞紙。

これらに加え、精華大学敷地内で拾ってきたものもOKです。

 

サイズは1.8m×1.8m×1.8m以上のものと決まりはあるものの、昨年とは異なりフォリーの形は自由。

 

小説『変身』を読んで、それぞれが持つ考えをチームメンバーと意見を交わし、一緒に1つのフォリーを制作する。様々な思いを言葉の壁を乗り越えながら伝え、共有し、共に表現する、とても興味深く、チャレンジングなワークショップになる予感満々です。

 

では、作業風景を交えて完成したフォリーを見ていきましょう。

 

Aチーム

孔雀小屋の横の普段は誰も気に留めないようなスペースを敷地に選びました。

紐で編まれた網のスペースは蝶になった時の通り道。

別角度からは人間になったグレゴリーが通れる入口があります。

中には2人の人が向かい合って座って話せるようにベンチが作られてありました。

実際に座ってみるといい距離感で落ち着いて話すことができ、また上が抜けているので開放的で会話も進むだろうなと感じました。

 

 

Bチーム

テキスタイルコースの建物の前を敷地に選びました。

丁寧に和紙や枝などで編まれた屏風のような緩やかな仕切りで、優しく明るい空間が生まれ、楽しく人々とグレゴールが交流できそうだなと感じました。

 

また、交流スペースの横には枝で作られた、人が一人入れる空間が作られており、入ってみると安心感があり落ち着く空間になっていました。

 

 

Cチーム

大学内を流れている小川を選びました。

このフォリーではグレゴールはいも虫、さなぎ、蝶、そして人間とどの段階でも安心して過ごせるよう設計しています。

正面に見える上から吊るしてある竹ひごで編まれたものは開閉をすることができ、カーテンのような、扉のような機能があり、開閉することによって、外との交流をしたい時、自分の時間が欲しい時を表すサインになります。

 

Dチーム

こちらも大学内を流れている小川とテラスを選定しました。

 

柱をなくしてオープンにそしてベールのような白いビニールで外とフワリと隔てています。

小川の上にはカラスがゴミを集めて巣を作るように、ハンモックのようなベットのようなちょっと横になれるような空間が出来上がってました。

また、上には空き缶など吊るして風で音が鳴るように工夫しています。

 

Eチーム

池を一望できる木の下が敷地です。

中央には座って風景を眺めたり、物事にふけるイスが作られており、そのサイドの和紙が貼られている部分は、右側は開閉でき、左側は上下に動かすことができるように工夫されています。

奥の白い部分の下にも座ることができるスペースが作られており、こちらは落ち着くことができるスペースになっています。

 

 

Fチーム

学内を流れている小川の池に流れ込むあたりのポイントを選びました。

川を基準にどのように過ごしてもらいたいか設定しています。

この構造体は人が2人乗っても大丈夫で、川の対岸に渡れるようになっており、その構造と安定感には驚かされました。

 

 

 

どのチームも自分達で選んだ敷地を生かして、見事なフォリーを制作しました。

時間、道具、材料限られた中で、お互いに協力して工夫を凝らして制作された新しい建築はとても新しく、楽しく魅力的なものでした。

講評では、それぞれ場所の新しい風景や物の見え方を教えてもらいましたとのコメントがあり、実際にフォリーの中に入ってみると気持ちが落ち着いたり、普段見ているキャンパスの風景がが少し違って見えたりととても面白い体験をさせてもらいました。

 

 

さて、各チームの発表が終わった後は恒例の打ち上げの食事会です。

参加した学生さん、おつかれさまでした。

そしてオーバン大学のみなさん、ありがとうございました。

 

また来年も楽しみにしています。

 

posted date 2025.10.14
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